安全保障とは、すでに獲得した価値あるもの(政治的独立、領土的一体性、国民の生命と財産など)への脅威がない状況のことです。それは、「酸素」のようなものであると言われることがあります。普段はその存在を意識しないが、無くなると生命の維持さえできなくなるということです。安全保障の概念と、学問領域としての安全保障論の詳細については、
宮岡勲『入門講義 安全保障論』(慶應義塾大学出版会、2020年)を参照してください。
本研究会は、主に現代の安全保障問題を研究対象にしています。3年次は、国際社会の平和と安全、軍備や同盟による国家の防衛を中心に国際政治の本質的な問題への理解を深めます。4年次は、前年度の学習を踏まえつつ、非国家的アクターや、難民・エネルギーなどを含めた広義の安全保障の範囲から、卒業論文の研究テーマを自由に選択することができます。なお、特定の地域や国といった地理的な限定はありません。
≪テーマ例≫
①理論的論争
リアリズム、リベラリズム、構成主義、批判的アプローチ、官僚政治・組織論・心理学
②国家安全保障
通常戦争の将来、核戦略と抑止、反乱と対反乱活動、軍民関係、諜報と国家安全保障、国内政治・世論・メディア
③国際安全保障
戦争の原因、人道的介入と平和維持活動、テロリズムと反テロリズム、核拡散、経済制裁、国際法と武力紛争
④地域安全保障
ヨーロッパとNATO、中東、アジア、アフリカ、ロシアとコーカサス北部
⑤グローバルな安全保障
非国家アクター、人間の安全保障、民主主義の促進、環境の安全保障、移民と難民、エネルギー安全保障